非抜歯矯正治療について

 

条件によっては抜かない矯正治療も可能です

 

「歯並びは治したいけど、歯は抜きたくない」
当然の希望だと思います。

 

歯列矯正では、悪い歯だから抜歯して治療するわけではありません。

『きれいな歯並びになるために、止むを得ず抜歯をするのです!』

 

きれいな歯並びになるためとはいえ、犠牲は小さいほど良いのが道理です。
ですから、できるだけ抜歯を控えた治療プランの立案を考えて、提案します。

 

ただし、全ての人たちにそのプランを提供できる訳ではありません。

抜歯して新たにスペースを作り、そのスペースを利用して、歯並びの凸凹を解消したり、出ている前歯を引っ込めたりしないと、治らない!

 

そういうケースの方が多いと思います。

その中で、抜歯する歯の本数を減らしたり、可能ならば非抜歯の治療プランを考えます。

 

抜歯を控える矯正治療

 

変則的な抜歯

歯を抜く場合、左右1本ずつの計2本を抜歯するのが普通です。

しかし、歯並びの状況によっては、『より症状のひどい側だけ』とかで済ませることも可能です。

 

例えば、「左側だけ八重歯」であれば左側の奥歯を1本だけ抜歯して矯正治療を始めることがあります。

 

また、「下の前歯のデコボコだけを治したい」という場合、歯の位置が一番ズレている前歯を1本だけ抜歯して矯正治療を始めることもあります。

 

 

非抜歯で行う矯正治療治療プラン

 

歯列を拡大

非抜歯の矯正治療を行う場合、そのほとんどは歯列(歯並び)の拡大を行います。

歯列矯正治療の原則として、「歯列幅径を変えない!」という原則があります。

 

従って、拡大という場合通常は、前方に拡大します。すなわち、前歯がやや前方に出て傾斜して拡がります。

 

最初の前歯の状態にもよりますが、症状が軽ければ、多少前歯が出ても見た目には影響を無視できます。

奥歯や前歯の噛み合わせ、前歯の凸凹の程度、口元の具合、などを総合的に勘案した上で、踏み切ります。

 

歯を抜かない矯正

 

歯の温存 抜かない矯正

 

一方、横に拡大というプランももちろんあります。

 

成長の余地が多く残る子供さんでは、治療の選択肢として上がることも良くあります。

 

例えば、上の歯並びであれば横に拡大することにより、上顎骨の正中口蓋縫合という部分が拡がります。 その部分には新しい骨が添加されて安定して行くのです。

 

この場合、奥歯にバンドをはめて定期的にスクリューを調節してゆっくりと拡大して行く急速拡大装置というものを使います。

 

ところが、成長することが無い大人の場合、同じ治療を行っても上顎骨の正中口蓋縫合が拡がることはありません。

 

奥歯が外側に傾斜して歯並びが横に広がったように見えるだけで、上顎骨自体が横へ大きくなったわけではありません。ですから、安定が非常に悪く、直ぐ後戻りしていしまうこともよくあります。

 

例外として、長い間に渡る口呼吸の影響で上顎の歯槽骨が狭くなってしまっている方がおられます。(歯並びが「V字」型になってしまっています!)

 

そのような方の場合、狭くなってしまった分を本来のはばに戻すためにクワドへリックスQuad Helix という拡大装置を用いて治療を行います。

 

歯を抜かないでできる矯正

 

従って、「誰でも歯列を拡大すれば良い!」という考え無しの作戦ではダメなのです。

無理に非抜歯で矯正治療を進めると噛み合わせが不安定になったり、治療後の見た目に不満を残すことがあります。

 

ディスキング

歯を削ってわずかなスペースを作りだそうという治療プランです。

 

歯を抜かずに矯正

歯の表面 一番外側で守っているエナメル質を片側について0.25mmほど削り、隙間を作ります。

左右あわせれば、1本の歯で0.5mmほどの隙間を作ることができます。

(例えば4本行えば、0.5mm×4本で2mmの隙間を作ることができます。)

 

エナメル質の厚みは0.7mmほどあるので、この程度であれば、歯の強度や虫歯に影響することはありません。

 

デメリットとしては、歯を削ることにより歯の形が変わります。

上の前歯で下手に行うと、審美性の低下という問題を生じることがあります。

 

従ってこの作戦をする場合、下の前歯の部分で行い直接治す作戦奥歯で行った後にできたスペース分だけ前歯を動かすという作戦のいずれかで行うことが多いと思います。

どちらにしても、できるスペースは1,2mmというわずかな量なので、軽度な症状で無いと使えません。

 

 

歯の遠心移動

奥歯を更に奥へと移動させ手前に隙間を作り、歯を並べていく方法です。

 

歯を抜かなで矯正したい

一見すると、とても魅力的な作戦です。

しかし、奥歯を奥へ動かすためには、更にその奥に歯が動くだけのスペースが存在することが前提となります。

 

親知らずが真っ直ぐに生えていた場合は、それなりの距離を稼げます。

しかし、埋まっていたりする場合では、奥歯を奥に動かす余地はほとんど無いと考えられます。

 

エクステンションリンガルアーチ、矯正用インプラント、顎間ゴムなどを利用して奥歯を奥へ動かすことが多いのですが、奥歯を全部動かそうと思うとそれだけで半年1年の時間が直ぐに経ってしまいます。

 

また、元に戻ろうとする力が働きますから、長い時間をかけてやっと動かしたのに、気が付いたらかなり戻っていてあまり隙間が残っていなかったり・・・噛み合わせが浅くなり、不安定になったり・・・と、問題を生じるリスクも出てきます。

 

従ってこの作戦をする場合、
1本ずつ抜歯するほどでもないが、もう少しでもスペースがあれば良い
片側だけどうしても足りないが、抜歯するほどでもない
というケースで選択されることが多いように思います。

 

最初からこの治療方針で行くというよりも、治療終盤でもう少しだけスペースが足りないなどの理由で、緊急的に行われることもあります。