大人の矯正における諸問題

大人の矯正

 

大人の歯列矯正においては、今後の成長を考慮しないといけない子供の矯正と異なり、いくつか問題が出ることがあります。 ここでは、それらの諸問題について解説します。

 

矯正における大人特有の問題

 

大人の歯列矯正と歯周病

 

現在、日本の成人の80%は歯周病に罹患している、と言われています。もちろん、その程度は軽度から重度まで様々ですが・・・。

歯周病に罹患した状態で歯列矯正を行うと何が悪いのでしょうか?

 

実は歯周病の炎症が強い状態で矯正力のような(ある意味余計な)外力が加わると、その部分の歯を支える骨が溶けてしまうのです! 歯周病の世界では、咬合性外傷と言われています。

そのため、矯正前にチェックして歯周病による炎症が強い場合は、まず、歯周病に対する治療を行い炎症を引かせて落ち着かせます。

また、そういう方は歯磨きも良くないことが多いですから、確実なプラークコントロールを行う歯磨き法を覚えてもらうことも重要です。

 

>>> 『 矯正中のプラークコントロール 』 を参照してください。

 

原則として矯正装置を付ける前にお口のクリーニング(いわゆる歯石取り)をしてもらいます。

 

なぜならば、お口のクリーニングをすることで、細菌数が処置前の約1/100~1/1000に減少して、お口の中がより清潔になるからです。

 

矯正装置がつくことで歯磨きし難いお口の中であっても、細菌が少なければお口の中で虫歯などの悪さを起こすリスクが減るからです。  

 

大人の歯列矯正と顎関節

 

噛み合わせで大事なことは、

①安定して噛める / ②顎がスムーズに動く / ③痛みや違和感が無い ということではないでしょうか!?

 

①安定して噛める

普通にカチカチ噛んだ時(中心咬合位)に、左右の奥歯が均等にしっかり噛み合っている、ということですね。
可及的に上下が緊密に噛み合っていることが大事になります。

 

顎がスムーズに動く

お口を色々と動かしたときに、引っかかったり、動かし難いこともなくスムーズに動いている、ということですね。

 

痛みや違和感が無い

お口を開けたり色々と動かしたりする時に、痛みや、運動制限が無い、という状態ですね。

 

時々あるのは、「お口を大きく開ける時に、カクン!と音がするんですが、大丈夫ですか?」という質問です。

過去に上にあげたような症状が無ければ、まず問題はありません。

関節部でカクンと異音がするということは、何らかのズレが生じている訳ですが、1年以上経過してしまうと、まず音は消えないことが多いです。

周囲組織に変形などが生じて、ズレた現状で体が適応してしまっていると考えられています。

もちろん、痛みなどがある時は別で、まず痛みを取る治療をした上で顎関節の安定を確認した上で、矯正治療に入ることになります。いわゆる顎関節症との関連がよく言われます。

現在の研究では、矯正の既往と顎関節症の発症とは直接の関係が無いということが分かっています。

「噛み合わせ」は顎関節症の多くの原因の一つに過ぎないと考えられているからです。

逆に言うと、矯正をしたから顎関節症が治るという単純なものではない、ということですね。

 

現在の研究では、顎関節症は複合原因により発症すると考えられています。

分かりやすく言うと、ココに大きなコップがあり水が入っています。この水が様々な発症に関与する原因で、大きなコップがその人の許容度です。

そして日常の生活を送る中でコップに水が追加されていき、コップから水が溢れた時が顎関節症の発症した時!となるわけです。

 

歯並びが悪いことなど噛み合わせが悪いことは、顎関節症の原因の一つであることは間違いありません。

従って、矯正をしても全然意味が無いということではなく、発症しにくくなるよう環境を整備するという大きな意味があるのです。

 

実際の経験で言うと、「矯正をして歯並びや噛み合わせを良くすることで頭痛や肩凝りが軽くなったり起き難くなった・・・」なんていう話は、よく耳にします。

 

ワンポイント・アドバイス

噛み合わせは、後方の顎関節【 ポステリオ ガイダンス 】と、前方の前歯【 アンテリアガイダンス 】とが、周りの様々な筋肉の動きによって、組み合わさり構成されています。アンテリオガイダンスが作る角度はポステリオガイダンスが作る角度よりも大きいことが分かっています。

結果として側方運動(顎を左右に動かしたとき)うあ前方運動(顎を前に動かしたとき)時に、犬歯を中心とした前歯が顎の動きをリードして、奥歯が上下的に離開した状態となります。

 

 

大人の矯正と社会的制約

 

社会で働く以上、その会社など働く環境により歯並びを治そうということに対して、治療手段に制約が出ることもあります。

職種によっては、会社で上司にお伺いを立てて確認することが必要なこともあります。

極端な場合には、矯正装置を付けることはダメ!ということもあるかもしれません。

 

セラミック矯正という治し方

でも、歯並びを治すことを諦める必要はありません。

 

そのためにセラミック矯正(審美歯科で治す歯並び)という治し方があるのです。

 

 >>『 矯正装置なしで治す矯正 』 を参照してください。

 

見えない矯正という治し方

また、歯列矯正をしても良いけれど見える歯の表側に付けるのはダメ! 歯の裏側に付けて矯正するならOK!ということもあります。

 

>>『 見えない矯正 』 を参照してください。

 

 

 

大人の歯列矯正と外科矯正

 

 

歯並びの悪さの度合いと目指すゴールによっては、歯列矯正だけでは治せないこともあります。
そういう場合は、(普通の)矯正と顎の骨を切るという外科手術を組み合わせてゴールを目指していくことになります。

この治し方を、外科矯正と言います。 原則、保険適用です。 しかし、外科手術に伴う入院が約1カ月間ほどかかるという、社会人にとっては大きなデメリットもあります。

 

歯列矯正をしようという以上に決断の要ることであると思います。

一時的には大変でしょうけれど、必ず良いことがあります。

勇気を出して、頑張ってください。

申し訳ありませんが、当クリニックでは外科矯正をしていません。

 

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